テーマ型ファンド(投資信託)の買い時はいつ?チェックすべきポイントをおさえよう!

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今年になってから、これまで人気が高かった毎月分配金の投資信託に代わり、テーマ型ファンド(投資信託)の人気が高まっています。テーマ型ファンドにはどのような種類があるのか、メリット・デメリットは何なのかを詳しく解説します。そして、テーマ株に投資できる新しい証券会社のfolio(フォリオ)もご紹介します。まずは、テーマ型ファンドの定義から見ていきましょう。

テーマ型ファンド(テーマ型投信)とは

テーマ型ファンドとは、AI(人工知能)やオリンピックなど、ある特定のテーマを対象に投資を行う投資信託です。人気が高いのは、自動車やロボット関連です。電気自動車(EV)や自動運転の実用化、人手不足や少子高齢化など多くの材料があります。

昨年まで人気が高かったのは、毎月分配型の海外REITです。ただ、金融庁がファンドの収益を超えた分配金を問題視したため、資金流出が止まらない状況です。その受け皿となっているのがテーマ型ファンドです。

テーマ型ファンドはアクティブファンド

投資信託には「インデックスファンド」「アクティブファンド」の2種類があります。それぞれ詳しく解説します。

インデックスファンドとは

インデックスとは、投資信託では「指数」のことを指します。株式では日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)といったもののほかに、債券やREIT(不動産投資信託)などがあります。

インデックスファンドはこのような指数に連動するよう運用する投資信託です。例えば、日経平均株価に連動するようなインデックスファンドなら、日経平均株価に連動する運用を目指します。

インデックスファンドは、別名パッシブファンドとも呼ばれ、買付手数料や信託報酬などのコストが安いファンドが多いのも特徴です。

インデックスファンドのメリット

市場の動きに手軽に投資できる

インデックスファンドを買えば、銘柄選定の手間をなくすことができます。例えば、日本株に投資したいと考えれば、日経平均株価やTOPIXなど指数に連動した投資信託を買うことで、日本株の成長に乗ることができます。そして、日経平均株価型なら225銘柄、 TOPIX型なら約2,000銘柄に分散投資しているので、リスクを軽減させる効果もあります 。

ファンドの購入・保有コストが安い

インデックスファンドは、購入時に手数料がかからない「ノーロードファンド」も多くあります。一般的な投資信託では、3%程度の手数料がかかるファンドもあるので、購入時に手数料がかからないというのは大きなメリットです。

また投資信託を保有すると「信託報酬」というコストがかかります。信託報酬とは、投資信託を管理・運用していくための経費として、投資信託を保有している間、ずっと投資家が支払い続ける費用のことです。信託報酬は年0.5~2%程度が一般的ですが、インデックスファンドは0.5%以下が多く、保有コストも安いことになります 。

インデックスファンドのデメリット

運用成績が指数とほぼ同じ

インデックスファンドでは、市場の平均であるインデックスに連動して運用しているので、大幅な値上がり益は期待できません。市場平均以上の利益を求める場合にはインデックスファンドは向いていないのです 。

アクティブファンドとは

アクティブファンドは、ファンドマネージャーと呼ばれる運用の専門家が、様々な情報や銘柄を分析し、日経平均株価やTOPIXなどベンチマークと呼ばれる指数を上回る収益を上げることを目指します。

運用するファンドマネージャーの手腕で実績に大きな差がでる上、購入手数料や信託報酬などの運用コストがインデックスファンドよりも高く、積極的な運用方針のものが多いので、目論見書での運用方針のチェックは重要です。テーマ型ファンドは、このアクティブファンドに分類されます。

アクティブファンドは 、運用対象や投資手法により、次の四つに分類されます。

 

①グロース株投資

②バリュー株投資

③トップダウン・アプローチ

④ボトムアップ・アプローチ

 

それぞれ詳しく解説します

グロース株投資

グロース株は成長株とも呼ばれ、その企業の成長戦略や事業展開、その企業が属するマーケットの成長性などから判断して、今後も大きく成長が期待される銘柄をいいます。 グロース株投資は、そのような将来成長が見込める企業の株式に投資する方法です。

バリュー株投資

企業本来の資産や業績などから企業価値を評価し、株価がその評価を下回っていると判断したものに投資する方法です。主にPERやPBRなどの指標を使います。

PERとは、株価収益率のことで、現在の株価が1株当たりの純利益の何倍なのかを示したものです。計算式は以下のようになります。

PER = 株価 ÷ EPS(純利益÷発行済み株式数)

一般に、10倍以下は割安と判断されます。

PBRとは、株価純資産倍率のことで、株価が1株当たりの純資産の何倍まで買われているかを示す指標です。計算式は次のようになります。

PBR = 株価 ÷ BPS(1株当たり純資産)

PBRは1倍を割れると割安と判断されます。

トップダウン・アプローチ

トップダウン・アプローチとは、投資する国や市場などを大局的に判断し、それに見合う銘柄に投資する方法です。

ボトムアップ・アプローチ

ボトムアップ・アプローチでは、個別企業の財務状況などを細く調査・分析して投資する方法です。

 テーマ型ファンドの現状

出典:三菱アセット・ブレインズ

上のグラフは、テーマ型ファンドと一般的な外国株式ファンドの設定本数の推移を示したものです。 2000年以前のテーマ型ファンド中心となったのは、情報技術関連セクターに投資するファンドです。その後は、ヘルスケア・バイオ関連のファンドが設定されたものの、本数は少なくなっています。

2007年から環境をテーマにしたファンドが多く設定され、テーマ型ファンドの数も急増。2013年頃からテーマ型ファンドが増えました。特に最近では、 IT(情報技術)やAI(人工知能)関連企業に投資するファンドや、ロボット関連企業に投資するファンドが多数設定されています。先進国株式ファンドの純資産残高は5兆円を超えていますが、テーマ型ファンドは全体の4割を超えています。主なテーマ別資産残高は以下の図をご覧ください。

出典:東証マネ部

ロボット・AI・情報技術で50%を超えているのがわかります。

テーマ型ファンドのメリット

続いて、テーマ型ファンドのメリットを見ていきましょう。

組み入れ銘柄がわかりやすい

株式市場ではテーマ関連株が盛り上がりますが、実際に個別株を購入しようとすると、銘柄選定の手間がかかりますし、どの銘柄が関連株かを把握するのも大変です。しかし、テーマ株ファンドなら、ファンドマネージャーが銘柄を選定してくれるので、そういった手間を省くことができます。

一般のアクティブファンドでは、組み入れ銘柄がファンドマネージャーの判断に任せられています。幅広い銘柄が対象となっているので、どのような業種に投資しているのか分かりにくい場合があります。特に、資産規模が拡大してくると大型株の割合が増え、インデックスに近い運用になります。

しかし、テーマ株ファンドなら、ITやロボット、AIなど業界や業種が限られているので、投資対象が分かりやすいというメリットがあります。

多くの資金を集めやすい

やはり投資信託は純資産総額が大きい方が、運用しやすくなります。以下の図をご覧ください。年初からの資金流入が多いファンドです。

出典:NIKKEY STYLE

 

2018年3月時点のデータです。1~3位はテーマ株ファンドが占め、年初から1,000億円単位で資金が流入しているファンドもあります。

テーマ型ファンドのデメリット

テーマ型ファンドのデメリットも見ていきましょう。

手数料が高い

テーマ型ファンドは、購入時の手数料が2~3%、信託報酬が1.5%程度かかります。インデックスファンドは、購入時の買付手数料が無料(ノーロードファンド)、信託報酬が0.5%以下と考えると、かなり手数料が高いことがわかります。

100万円投資すると、1年目には35,000円ぐらいの手数料を払いますから、コストが負担になります。

ただ、今年になって、テーマ型ファンドでも手数料競争が始まり、手数料の引き下げが行われるようになりました。特定のテーマに絞った企業を選ぶ指数を独自に開発し、その指数に基づいて運用することでコストを抑え、信託報酬などを下げるのです。

つまり、インデックスファンドに近い運用を行うテーマ型ファンドが誕生しているのです。

例えば、三菱UFJ国際投信では、低コストインデックスファンドで人気が高い「eMAXIS」シリーズの新型商品を開発しました。8月に「遺伝子工学」「宇宙開発」「ロボット」の3テーマを新規設定し、テーマ型ファンドへの需要を取り組みます。購入手数料はなし、信託報酬も年0.72%と、インデックスファンド並のコストとなっています。

テーマ株の人気が続くとは限らない

これはどんな株にも言えるのですが、特にテーマ株は旬が短いこともあります。そういったときは、数年以上持ち続けていても、基準価額が上がらないといったこともあるので、どのようなテーマの息が長いのかということを見極めないといけません。

テーマ株ファンドは特定の銘柄に集中して投資しているので、インデックスファンドよりリスクが高く、難しいと言われている理由になっています。

テーマ型ファンドの購入の仕方

それでは、テーマ型ファンドの購入の方法を見ていきましょう。

テーマを分散する

テーマ株ファンドは、組み入れ銘柄や業種に偏りがあります。AIやロボットなど関連銘柄を複数買い付けるので、テーマごとの分散はなされていますが、テーマ株自体が下がると、大きな損失を受ける可能性もあります。

ですから、1つのテーマに絞るのではなく、3つ程度に分散して購入するようにしましょう。テーマ型ファンドは設定が多いですし、テーマ株自体も流行り廃りがあります。しかし、その時々のテーマに合わせて乗り換えを繰り返すと、手数料がかかり運用成績は悪化します。頻繁な売買は控えるようにしましょう。

投資のタイミング

テーマ株ファンドでは、 ロボティクスなど長期投資に向くテーマもあります。また、ここ10年で人気があったのは、ヘルスケア・バイオ関連ファンドです。日本だけでなく、世界的に出生率が低下し高齢化が進む中で、ヘルスケア・バイオ注目されました。

実際に、今も市場は拡大し続けています。しかし、設定されるタイミング次第によって運用成績は大きく異なります。テーマ性が話題になった早い時期に設定されたファンドは、株価の上昇を享受できますが、タイミングが遅れるほどに投資成果が得られにくくなります。

人気が高まれば高まるほど、後で設定されたファンドの方が資金を集めますが、業種や銘柄が限られているので、高値圏で買い付けてしまう恐れもあります。以下の図をご覧ください。

出典:東証マネ部

3種類のヘルスケア・ファンドの設定時からの、インデックスファンドに対してどの程度を上回っているかをグラフ化したものです。2008年に設定されたグローバル・ヘルスケア&バイオファンドは、2014年から2016年にかけて大幅にインデックスを上回るパフォーマンスをあげています。

一方、高値圏で設定された世界メディカル関連株式オープンでは、インデックスファンド並の成績しかあげられてないとか分かります。このように初期の方に設定された方がパフォーマンスは良好になる傾向にあります。

テーマ型ファンドは、株式市場で人気のテーマにいち早く注目して設定された場合には、時流に乗って高パフォーマンスが期待できます。ただし、人気化しない場合もあるので、集中投資は避けるようにしましょう。

テーマ株に投資する「folio(フォリオ)」とは

 

出典:フォリオ

テーマ株に投資できるフォリオという証券会社があります。まずは、特徴から見ていきましょう。

フォリオの特徴

フォリオとは、10万円前後で「ドローン」や「アンチエイジング」「 AI(人工知能)」 などといった、テーマ株に投資することができる証券会社です。

通常、テーマ株を取引しようと思ったら、企業の成長性や業績を調べ、テクニカル分析による株価水準など、様々な項目を分析して銘柄選定をすることが必要になってきます。分析には専門的な知識が必要なため、初心者の方が始めるには敷居が高くなる傾向にあります。

しかし、フォリオで選べるテーマ株は、プロが選んだ10社の有望企業で構成されています。その10社にリスク分散された投資をすることで、誰でも簡単に投資を楽しむことができるのです。

分散投資を10万円から

通常の株式は100株単位です。ですから1銘柄購入するのに、最低でも数万円、高いものだと数百万円します。しかし、フォリオでは、単元未満株取引を行うことで、1株からの購入を可能にしました。

例えば、VR(仮想現実)。VRとは、「現実ではないが、あたかも現実のように感じられる空間を人工的に作り出す技術」のことです。このテーマ株の内訳は、以下のようになっています。

 

出典:フォリオ

ソニー3株、クリーク・アンド・リバー社13株、エレコム5株など、単元未満株を利用することによって、合計金額を10万円前後に抑えているのがわかります。

出典:フォリオ

さらに、パフォーマンスも表示されているので、どのような運用がなされているのかが分かりやすくなっています 。

フォリオの手数料

フォリオの手数料は銘柄ごとに売買代金の0.55%(税込)です。例えば、10万円購入したとしたら、手数料は550円(税込)かかることになります。

大手ネット証券だと約定代金10万円では100円前後です。しかし、フォリオでは個別銘柄に投資するわけではなく、銘柄選択の手前がありませんので、特に割高の手数料とはいえません。

投資信託との違い

投資信託は、運用の専門家であるファンドマネージャーが、投資家から集めた資金を元に運用を行っています。購入時の手数料以外に、保有している間の管理に対して発生する信託報酬や、売却時にかかる手数料信託財産留保額などフォリオよりも多くの手数料がかかります。

フォリオでは、単元未満株の買い付けを行います。銘柄のリバランスを行う際も、自分でする必要があります。 リバランスとは、フォリオで10銘柄の運用をしている時、相場環境によって株数のバランスが崩れてくることがあります。その場合に、値上がりした株を売って、値下がりしている株を買うことです。

投資信託ならファンドマネージャーが行なってくれますが、フォリオでは自分で行う必要があります。ただし、定期的に比率の修正をフォリオから提案してもらえるので、それに従って銘柄入れ替えを行えば良いのです。

まとめ

今回はテーマ株ファンドと、テーマ株に投資できる「フォリオ」についてご案内してきました。テーマ株は 企業ではなく、 AIやドローンなどテーマを選んで投資を行います。自分でそのテーマにどのような株があるかということを調べるのは難しいので、投資信託やフォリオに任せて運用するのもいいでしょう。ただし、そのテーマ自体の人気がいつまで続くのかということをチェックしておかなければいけません。今回の記事が、テーマ株に興味を持つきっかけになれば幸いです。

 

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