債務整理をするかどうか悩んでいる、あるいは債務整理を依頼したけど…、という方の中には、「債務整理はいつになったら終わるのか」という心配をされている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
債務整理には大きく分けて任意整理・自己破産・個人再生という3つの方法があります。
それぞれどれくらいの期間がかかるのかについてお伝えしていきます。
任意整理の場合の期間
まずは任意整理の場合にかかる期間について見ましょう
任意整理は債権者と交渉をして支払いを楽にしてもらう手続き
もし任意整理をしなければ、債務者は契約書に従った支払いの履行をしなければなりません。
当然これには、元本に応じた利息や、支払いが遅れてしまった場合には遅延損害金や一括返済といったものに応じる義務があります。
任意整理は交渉をしてこういった債務者が負担になる支払いを軽くするように債務者(通常はその代理人である弁護士や司法書士)と債権者(貸金業者)との間で和解契約という民法上の契約を組むことになります。
相談予約から相談
任意整理をしてくれるのは弁護士・司法書士です。
弁護士・司法書士に債務整理の依頼をするにあたっては、まず法律相談をするための予約をすることになります。
相談の予約は当日に相談に対応している弁護士・司法書士が居る場合には即日相談ができますし、遅くとも3日営業日以内の予約を取ってくれることが通常です。
依頼から支払いストップ
債務整理の法律相談をして、依頼をすると支払いや督促が即日ストップするという風に伝えられていますね。
依頼を受けてから弁護士・司法書士は事務職員に命じて依頼を受けたので以後の連絡はこちらにしてください、という通知を書面で送ることになっています(受任通知)と呼んでいます。
受任通知はその日のうちか、夜間の法律相談に行ったような場合には次の日には債権者に発送されることになっています。
特に速達を使うようなこともしませんので、受任通知が届くのが翌日・翌々日ということになります。
受任通知を受け取った債権者は債務者への督促をやめるための内部的な手続きをします。
債務の調査
弁護士・司法書士が貸金業者に送る受任通知には取引の履歴の提出を依頼する文言が書かれています。
貸金業者はこれに応じることになっており、取引の履歴をもとに債務額の調査をします。
貸金業者がきちんと取引の履歴の開示に協力する場合には、1ヶ月程度の期間で債務の調査が終わります。
弁護士・司法書士報酬の回収
債務の調査が終わるとすぐに貸金業者との交渉に取り組むのですが、通常弁護士費用について分割での支払いにしていることが多いので、分割の弁護士・司法書士への報酬の回収を先にします。
例えば1社あたり5万円の弁護士費用が設定されていて、3社からの借り入れについての任意整理をする場合には、15万円の弁護士・司法書士への弁護士費用を先に入金することになります。
たとえば3万円の分轄契約にしている場合には、5回の入金を終えた5ヶ月後以降に交渉が始まるということになります。
和解契約
貸金業者との和解は、弁護士・司法書士から書類で和解案を提出し、貸金業者側からこれに応じるかどうかの連絡が弁護士・司法書士に対してされ、書面の取り交わしとなります。
ここまでくると一気に手続きが進むことになるので、実際の支払い開始までは1ヶ月程度で始まると考えるべきです。
返済
和解契約で定められた返済内容を返済してゆきます。
基本的には36回(3年)で終了するような内容での支払い計画で和解をします。
500,000円の場合には、14,000円の約36回(端数は最終回や初回で調整)が目安になります。
1回の支払いが5,000円を切るような和解はあまり応じてもらえないので、その場合には期間が短くなることもあります。
自己破産
では自己破産手続きにはどれくらいの時間がかかるのでしょうか。
自己破産手続きは、破産法に基づいて裁判所で債務に関する今後の処理について決定をした上で、債務者の債務を免除する手続きになります。
そのため破産書類の作成・申立・自己破産に関する法律で決まっている手続きを経る必要性があります。
相談から債務の調査までは任意整理とかわらない
自己破産手続きも、弁護士・司法書士に依頼をして申立をする手続きになるので、相談からはじまることになります。
また依頼をすると債権者に通知を送ってくれることになり、この場合にも申立にあたって債務額を確定させなければなりませんので、債務の調査を行います。
ここまでの期間は任意整理と変わりません。
弁護士・司法書士への費用の支払い
任意整理と同様に弁護士・司法書士に手続きの費用の支払いをします。
自己破産は法律事務所・司法書士事務所によりますが、少なくとも15万円以上の報酬を支払うことが通常です。
そのためこの場合も一括で支払うことは通常考えられないので、分割して支払うことになります。
管財人に支払う費用を積み立てる
自己破産手続きの中でも、少額管財という手続きになるような場合には、管財人という裁判所から選任される役職の人がつくことになります(弁護士が選任されます)。
この場合には予納金というものを申立直後に入金しなければなりません(東京地方裁判所の管轄案件ですと20万円とされています)。
申立から4回の分割で入金することができますので、月に5万円の入金で最長で4ヶ月となります。
それ以上の分割入金をする場合には、申立までに積み立てをしておいて申立後に入金をすることになります。
申立書類の作成
破産申立書類の作成をします。
自己破産手続きは書類を作成して申立をすることになっているので、書類の作成をします。
この書類の作成にあたっては、上述しましたが、直近の家計の状況や、自己破産に至った経緯、通帳の中で説明がつかないような内容の支払いがないか(個人名の入出金や、内容が不明の入出金)、を申告しなければなりません。
その確認のため、弁護士・司法書士の質問に答える必要があります。
確認は電話でやりとりをすることもありますし、弁護士・司法書士の事務所に訪問をして打ち合わせすることが多いです。
直近2ヶ月の家計の状況を詳しく記載する必要があったり、通帳に記帳されておらず合算されてしまい取引の履歴が出せない場合には、銀行にその期間の取引明細を別に出してもらう、などの手間があることから、実際は2ヶ月程度の期間がかかることが多いです。
申立後の手続き進行
自己破産の申立がされると、少額管財の場合は管財人との面接をした後に債権者集会を開催して手続きが終了します。
管財人との面接は申立をした1ヶ月~2ヶ月語程度の時期に開催されます。
債権者集会はその1ヶ月~2ヶ月後くらいの時期に開催されます。
債権者集会が終わってから1ヶ月後くらいに破産手続きが終了し、終了から1ヶ月後に債務が無くなる免責が確定になります。
同時廃止という簡単な手続きで終わる場合には、管財人の面接がありませんので、1ヶ月程度手続きが短縮されることになります。
個人再生
個人再生手続きというのは、民事再生法に基づいて裁判所に対して申立をして借金の減額と分割弁済をしてもらう手続きをいいます。
こちらも自己破産の手続きと同様に裁判所に対する申立を必要とするので時間のかかる手続きになります。
申立までは自己破産手続きと同じ
申立までは自己破産手続きと同じです。
再生委員の選任と履行可能テストの開始
申立がされると1週間程度で再生委員という裁判所から選任される当該個人再生事件を管理する再生委員という人が選ばれます。
個人再生案件の申立が東京地方裁判所でなされた場合には、個人再生で問題なし支払っていけるかどうかをチェックするために、再生委員の口座に支払っていく手続きが開始します(この手続きを履行可能テストと呼びます)。
再生計画の作成
申立後に個人再生の支払いの予定表ともいえる「再生計画」を作成し、提出を行います。
個人再生の決定
再生計画が認められると個人再生をするという形での決定を裁判所が行います。
返済
再生計画にしたがった返済をしていくことになります。
期間は3年間を上限に返済をしていくことになります。
債務整理の期間を短くするためには
債務整理をするにあたって、できる限り早く終わらせたいと思うのは当然のことです。
月々支払いにまわせる額を正確に把握する
まずはどの手続きを利用するにしても、月々いくら債務整理のために支払いができるかどうかは、正確に把握するようにしましょう。
毎月支払える金額は法律相談の最初に弁護士・司法書士から相談者に必ず聞くことになります。
任意整理は36回(3年)の分割が原則で、うまくいけば60回(5年)が限度です。
そのためそれ以上の分割でないと任意整理ができない、という場合には任意整理で手続きを進めようにも債権者が和解に応じないので、任意整理もできない自己破産・個人再生は嫌だ…という膠着状態で債務整理が終わらないことはよくあることです。
毎月の支払い可能な金額を多めに申告することから起きる事態なので、毎月の支払い可能な金額は事前にしっかり把握をしておくようにしましょう。
弁護士・司法書士への報酬を早く支払う
弁護士や司法書士への報酬は分轄にすることができ、ほとんどの人が分割での支払いを希望されます。
任意整理にしても、自己破産・個人再生にしても、最終的な手続きをすすめる前に弁護士・司法書士への報酬を分轄で支払ってもらうことになっています。
この支払いをなるべく楽にしたいという観点から、弁護士・司法書士になるべく少ない額での支払いを希望してしまい、その結果手続きが長引くことはよくあります。
なるべく早くに弁護士費用・司法書士費用を終わらせられるようにするべきです。
裁判所への提出資料の用意に積極的に協力する
自己破産・個人再生の利用をする場合なのですが、申立書類に添付する書類として、通帳のコピーや支払い明細などのものを用意するように弁護士・司法書士から促されます。
これらの書類は必ず必要になりますが、提出が面倒になってしまってなかなか提出しない人が実はものすごく多いです。
提出書類は人や裁判所の管轄によって違うので、弁護士・司法書士に事前に必要になるものを債務整理の申し込みの段階で聞いておくのがよいでしょう。
まとめ
このページでは、債務整理の各手続きにどのくらいの期間を要するのかと、期間を短くするためのコツについてお伝えしました。
弁護士費用の分割や申立書類への協力など、依頼者側の努力で期間を短くできるものもたくさんありますので、是非参考にして債務整理を早期に終わらせるようにしてください。