結局何カ月かかるの?債務整理の期間を種類別に解説

SHARE

債務整理をするかどうか悩んでいる、あるいは債務整理を依頼したけど…、という方の中には、「債務整理はいつになったら終わるのか」という心配をされている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

Expert
長い期間がかかる債務整理ですが、ちょっとしたコツで終わるまでの期間が短くなるコツもあるんですよ。

債務整理には大きく分けて任意整理・自己破産・個人再生という3つの方法があります。

 

それぞれどれくらいの期間がかかるのかについてお伝えしていきます。

任意整理の場合の期間

まずは任意整理の場合にかかる期間について見ましょう

任意整理は債権者と交渉をして支払いを楽にしてもらう手続き

もし任意整理をしなければ、債務者は契約書に従った支払いの履行をしなければなりません。

当然これには、元本に応じた利息や、支払いが遅れてしまった場合には遅延損害金や一括返済といったものに応じる義務があります。

任意整理は交渉をしてこういった債務者が負担になる支払いを軽くするように債務者(通常はその代理人である弁護士や司法書士)と債権者(貸金業者)との間で和解契約という民法上の契約を組むことになります。

Expert
交渉の内容は東京三会基準というものが参考にされて、現在ではほとんどのケースでこれにしたがっています。これによると、①利息はつけない②遅延損害金はつけない③36回(3年)の分割払いする、という内容で和解することがほとんどです。

 

 

相談予約から相談

任意整理をしてくれるのは弁護士・司法書士です。

弁護士・司法書士に債務整理の依頼をするにあたっては、まず法律相談をするための予約をすることになります。

Expert
案件の相談を受けられるのは弁護士・司法書士だけになっており、突然訪ねて行っても、弁護士・司法書士は裁判所など外出していたり、法律相談の対応をしている場合には対応ができません。そのため事前に相談の予約をするようにしましょう。

相談の予約は当日に相談に対応している弁護士・司法書士が居る場合には即日相談ができますし、遅くとも3日営業日以内の予約を取ってくれることが通常です。

 

Expert
もし今すぐに督促がきていて困っているような場合でも、弁護士や司法書士と法律相談する予定がありますということを伝えるようにしましょう。

依頼から支払いストップ

債務整理の法律相談をして、依頼をすると支払いや督促が即日ストップするという風に伝えられていますね。

依頼を受けてから弁護士・司法書士は事務職員に命じて依頼を受けたので以後の連絡はこちらにしてください、という通知を書面で送ることになっています(受任通知)と呼んでいます。

受任通知はその日のうちか、夜間の法律相談に行ったような場合には次の日には債権者に発送されることになっています。

特に速達を使うようなこともしませんので、受任通知が届くのが翌日・翌々日ということになります。

受任通知を受け取った債権者は債務者への督促をやめるための内部的な手続きをします。

Expert
つまり、依頼をしてから受任通知が届くまでの間に若干のタイムラグが発生することになります。しかし、実務上は督促の電話に出た上で、どこどこの法律事務所・司法書士事務所に依頼したということを告げると、督促をしなくなります。

債務の調査

弁護士・司法書士が貸金業者に送る受任通知には取引の履歴の提出を依頼する文言が書かれています。

貸金業者はこれに応じることになっており、取引の履歴をもとに債務額の調査をします。

貸金業者がきちんと取引の履歴の開示に協力する場合には、1ヶ月程度の期間で債務の調査が終わります。

弁護士・司法書士報酬の回収

債務の調査が終わるとすぐに貸金業者との交渉に取り組むのですが、通常弁護士費用について分割での支払いにしていることが多いので、分割の弁護士・司法書士への報酬の回収を先にします。

例えば1社あたり5万円の弁護士費用が設定されていて、3社からの借り入れについての任意整理をする場合には、15万円の弁護士・司法書士への弁護士費用を先に入金することになります。

たとえば3万円の分轄契約にしている場合には、5回の入金を終えた5ヶ月後以降に交渉が始まるということになります。

Expert
任意整理後には債権者への分轄弁済が始まることになります。これと弁護士・司法書士への報酬の分割を同時に行うとなると、依頼者の経済的な負担が高いので、このような方法になっています。なお支払いをしないと遅延損害金がついてしまうのではないですか?という問い合わせがよくありますが、和解にあたっては遅延損害金の支払いは免除してもらっての契約になるので心配はいりません。

 

 

和解契約

貸金業者との和解は、弁護士・司法書士から書類で和解案を提出し、貸金業者側からこれに応じるかどうかの連絡が弁護士・司法書士に対してされ、書面の取り交わしとなります。

ここまでくると一気に手続きが進むことになるので、実際の支払い開始までは1ヶ月程度で始まると考えるべきです。

 

Expert
債務の内容、貸金業者がどこなのかによって大いに左右されるものではあるのですが、おおむね6ヶ月程度の期間が任意整理にはかかってくると考えておくべきでしょう。

返済

和解契約で定められた返済内容を返済してゆきます。

基本的には36回(3年)で終了するような内容での支払い計画で和解をします。

500,000円の場合には、14,000円の約36回(端数は最終回や初回で調整)が目安になります。

1回の支払いが5,000円を切るような和解はあまり応じてもらえないので、その場合には期間が短くなることもあります。

自己破産

 

では自己破産手続きにはどれくらいの時間がかかるのでしょうか。

自己破産手続きは、破産法に基づいて裁判所で債務に関する今後の処理について決定をした上で、債務者の債務を免除する手続きになります。

そのため破産書類の作成・申立・自己破産に関する法律で決まっている手続きを経る必要性があります。

相談から債務の調査までは任意整理とかわらない

自己破産手続きも、弁護士・司法書士に依頼をして申立をする手続きになるので、相談からはじまることになります。

また依頼をすると債権者に通知を送ってくれることになり、この場合にも申立にあたって債務額を確定させなければなりませんので、債務の調査を行います。

ここまでの期間は任意整理と変わりません。

弁護士・司法書士への費用の支払い

任意整理と同様に弁護士・司法書士に手続きの費用の支払いをします。

自己破産は法律事務所・司法書士事務所によりますが、少なくとも15万円以上の報酬を支払うことが通常です。

そのためこの場合も一括で支払うことは通常考えられないので、分割して支払うことになります。

 

Expert
自己破産手続きや個人再生手続きは報酬が高いため、任意整理に比べて長めの報酬の分割入金をしている事務所があります。筆者が勤めていた法律事務所では最高で12回分割(1年)といったものあがりました。

 

管財人に支払う費用を積み立てる

自己破産手続きの中でも、少額管財という手続きになるような場合には、管財人という裁判所から選任される役職の人がつくことになります(弁護士が選任されます)。

この場合には予納金というものを申立直後に入金しなければなりません(東京地方裁判所の管轄案件ですと20万円とされています)。

申立から4回の分割で入金することができますので、月に5万円の入金で最長で4ヶ月となります。

それ以上の分割入金をする場合には、申立までに積み立てをしておいて申立後に入金をすることになります。

申立書類の作成

破産申立書類の作成をします。

Woman
手続きを弁護士・司法書士にお任せするのだから、特にやることなんてないんじゃないですか?
Expert
申立にあたっては何故自己破産をするに至ったか、申立直近2ヶ月の家計の状況はどうなっているか、通帳の記載から自己破産手続きをするのにふさわしくない支出がないかなどチェックすることになっているので、長い場合には2~3ヶ月程度かかることはあります。

自己破産手続きは書類を作成して申立をすることになっているので、書類の作成をします。

 

この書類の作成にあたっては、上述しましたが、直近の家計の状況や、自己破産に至った経緯、通帳の中で説明がつかないような内容の支払いがないか(個人名の入出金や、内容が不明の入出金)、を申告しなければなりません。

その確認のため、弁護士・司法書士の質問に答える必要があります。

Expert
わたしの居た事務所では、いったん素人感覚で良いので依頼者に書いてもらい、裁判所への申立文書としてふさわしいかたちに事務職員・弁護士で事実関係を確認したりしながら調整、最終的にする合わせをして提出をするようにしていました。

確認は電話でやりとりをすることもありますし、弁護士・司法書士の事務所に訪問をして打ち合わせすることが多いです。

 

直近2ヶ月の家計の状況を詳しく記載する必要があったり、通帳に記帳されておらず合算されてしまい取引の履歴が出せない場合には、銀行にその期間の取引明細を別に出してもらう、などの手間があることから、実際は2ヶ月程度の期間がかかることが多いです。

申立後の手続き進行

自己破産の申立がされると、少額管財の場合は管財人との面接をした後に債権者集会を開催して手続きが終了します。

管財人との面接は申立をした1ヶ月~2ヶ月語程度の時期に開催されます。

債権者集会はその1ヶ月~2ヶ月後くらいの時期に開催されます。

債権者集会が終わってから1ヶ月後くらいに破産手続きが終了し、終了から1ヶ月後に債務が無くなる免責が確定になります。

同時廃止という簡単な手続きで終わる場合には、管財人の面接がありませんので、1ヶ月程度手続きが短縮されることになります。

個人再生

個人再生手続きというのは、民事再生法に基づいて裁判所に対して申立をして借金の減額と分割弁済をしてもらう手続きをいいます。

こちらも自己破産の手続きと同様に裁判所に対する申立を必要とするので時間のかかる手続きになります。

申立までは自己破産手続きと同じ

申立までは自己破産手続きと同じです。

再生委員の選任と履行可能テストの開始

申立がされると1週間程度で再生委員という裁判所から選任される当該個人再生事件を管理する再生委員という人が選ばれます。

個人再生案件の申立が東京地方裁判所でなされた場合には、個人再生で問題なし支払っていけるかどうかをチェックするために、再生委員の口座に支払っていく手続きが開始します(この手続きを履行可能テストと呼びます)。

再生計画の作成

申立後に個人再生の支払いの予定表ともいえる「再生計画」を作成し、提出を行います。

個人再生の決定

再生計画が認められると個人再生をするという形での決定を裁判所が行います。

返済

再生計画にしたがった返済をしていくことになります。

期間は3年間を上限に返済をしていくことになります。

Expert
裁判所に関する手続きについてはあっさりとした記述しかできないのは、管轄する裁判所によって手続きが違うことがあるためです。

 

債務整理の期間を短くするためには

 

債務整理をするにあたって、できる限り早く終わらせたいと思うのは当然のことです。

Expert
手続きが詰まってしまって長引くポイントを、実務に携わっていた者の視点からお伝えしますので、是非参考にしてください。

 

月々支払いにまわせる額を正確に把握する

まずはどの手続きを利用するにしても、月々いくら債務整理のために支払いができるかどうかは、正確に把握するようにしましょう。

Expert
最初の法律相談時において、債務の総額と月々支払いができる総額(原資という言い方をします)をお伺いし、支払いが難しい場合には自己破産・個人再生、支払いが可能である場合には任意整理の方向で進めます。多くの方が借金返済のための生活を最優先にしており家計が見えていなかったり、「とにかく自己破産だけは嫌だ」という観点から支払い可能額を把握しておらず、任意整理をしようにも毎月支払える金額がなくなってしまって手続きが進められないということは実は多いのです。

毎月支払える金額は法律相談の最初に弁護士・司法書士から相談者に必ず聞くことになります。

任意整理は36回(3年)の分割が原則で、うまくいけば60回(5年)が限度です。

そのためそれ以上の分割でないと任意整理ができない、という場合には任意整理で手続きを進めようにも債権者が和解に応じないので、任意整理もできない自己破産・個人再生は嫌だ…という膠着状態で債務整理が終わらないことはよくあることです。

Expert
弁護士・司法書士としても案件を放置するわけにはいきませんので、このような場合には辞任をせざるを得ないのです。

毎月の支払い可能な金額を多めに申告することから起きる事態なので、毎月の支払い可能な金額は事前にしっかり把握をしておくようにしましょう。

弁護士・司法書士への報酬を早く支払う

弁護士や司法書士への報酬は分轄にすることができ、ほとんどの人が分割での支払いを希望されます。

任意整理にしても、自己破産・個人再生にしても、最終的な手続きをすすめる前に弁護士・司法書士への報酬を分轄で支払ってもらうことになっています。

この支払いをなるべく楽にしたいという観点から、弁護士・司法書士になるべく少ない額での支払いを希望してしまい、その結果手続きが長引くことはよくあります。

Expert
手続きが長引いている間は債務の支払いはいったん凍結されているだけで、任意整理や自己破産・個人再生の申立は必ずしなければなりません。手続きが長引くうちに借金の支払いのために切り詰めていた食費などの費用が増えてしまって、いざ返済となったときに支払うイメージができずに、手続きを待ってほしいという依頼者が多くいます。

なるべく早くに弁護士費用・司法書士費用を終わらせられるようにするべきです。

裁判所への提出資料の用意に積極的に協力する

自己破産・個人再生の利用をする場合なのですが、申立書類に添付する書類として、通帳のコピーや支払い明細などのものを用意するように弁護士・司法書士から促されます。

これらの書類は必ず必要になりますが、提出が面倒になってしまってなかなか提出しない人が実はものすごく多いです。

Expert
たとえば通帳のコピーは東京地方裁判所管轄事件の場合、申立直近2年分のものが必要です。5月に通帳のコピーを提出してもその他の追加書類の提出についてなかなか提出せずに8月になった場合には、通帳もさらに8月分の最新のものを提出する必要があります。「前に出したのになんで何回も何回も同じ事を繰り返すのですか?」と言われる方が非常に多いのですが、全部の書類を提出しないとなりませんので、書類はなるべく早く揃えてしまうのが結局は早く債務整理が終わる近道になります。

提出書類は人や裁判所の管轄によって違うので、弁護士・司法書士に事前に必要になるものを債務整理の申し込みの段階で聞いておくのがよいでしょう。

 

まとめ

このページでは、債務整理の各手続きにどのくらいの期間を要するのかと、期間を短くするためのコツについてお伝えしました。

弁護士費用の分割や申立書類への協力など、依頼者側の努力で期間を短くできるものもたくさんありますので、是非参考にして債務整理を早期に終わらせるようにしてください。

 

コメントを残す