スマホ端末代と通信費は分けた方がいい?端末代と通信料金の完全分離が節約につながる理由を解説!

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通信料金の複雑化や、大手キャリアによる縛り契約の根源ともなっている、端末代と通信料金のセット販売が近年では問題視されています。

そんな中、規制開拓推進会議19日に、端末代と通信料金の「完全分離」を推進していく方針が新聞・TVでも報告されました。

端末代と通信料金が分離することによって、これまでのように気軽に高額な新機種を購入しづらくなるのは事実ですが、通信料金を節約しやすくなる土台ができていくことが期待できます。

端末代と通信料金が分けた方が節約につながるのはどうしてでしょうか?

今回は端末代と通信料金の分離化とは何か、完全に分離することでできる節約方法を解説していきます。

通信端末の購入方法

端末と通信料金がセットになってしまった経緯をご説明する前に、まずは携帯・スマホ端末がなぜセットで販売されるようになってしまったのかを、考えていきましょう。

かつての電話機とは

現在20代30代前半に人達にとって、電話機(携帯・スマホ)とはドコモやソフトバンクなどのショップへ行かなければ購入できないものとのイメージが強かったと思います。

おそらくMVNOが普及し始めている現在でも、え?オンラインでもスマホ端末は買えるの?と思う人もまだまだいるでしょう。

携帯やスマホがなかった時代に育ってきた、40代以上の人達は、電話機をホームセンターや家電量販店などで好きなものを選んで購入していた経験があります。そんな経験からも、携帯やスマホの端末のみを自由に購入できないのは何故だろうと疑問に思っても不思議ではありません。

PCの普及と携帯電話

1990年代に入ってからPCが一般消費者に普及し始めるとともに、携帯電話がこの世に登場しました。当時、まだPCの存在自体に馴れない人が多かった頃、携帯電話を販売するのは、NTTドコモ、au、ソフトバンクの3社だけしかありませんでした。

携帯電話を使う=携帯電話機を購入できるのは、その3社が運営するショップへ行くしか方法はなかったのです。

※携帯電話(スマホ)の普及率の推移

出典:総務省 参考URL

上のグラフは携帯の普及率の推移となり、2000年を境に固定電話と携帯電話の普及率が入れ替わり、携帯電話は多くの人達にとって必要不可欠なサービスとなっていきます。

ちょうど2000年を過ぎた辺りから、通信回線を利用するために必要なデータを内蔵したSIMという小型のカードが使われるようになり、端末さえあれば、SIMを差し込むことで携帯の利用が可能になります。

SIMロックによる囲いこみ

ところが、大手3社は激しい争奪戦から身を守るべく3社揃って端末にSIMロックをかけ他社のサービスが使えないように操作していきます。

この状態が近年まで続いていて、このSIMロックによる顧客の囲いこみと、SIMがあればどの端末でも通信サービスが使えるという事実が知らされていなかったわけです。海外でもこのような現象は若干見られていますが、日本ほど全国的な規模でこの状態が続いていたのは驚くべきことです。

インターネットを利用するにあたって、PCは何処ででも購入できましたが、携帯電話だけは何故かこの大手3社のショップでしか購入できないという認識がいつしか当たり前になってしまったのです。

そして、ここ数年、行き過ぎた大手3社の経営方法に国政が関与するほどの事態となってきています。

格安SIMとMVNO

反面、携帯・スマホの普及が拡がるにつれ、オンラインや専門店、MVNOなどで携帯・スマホ端末とSIMが個別で購入できるようになってきましたが、まだ、一般的に認識されるまでには至っていないのが現状です。

  • SIMのみが格安で購入できる→格安SIM
  • 格安のスマホとSIMを個別で販売している業者→MVNO

以下は、国内の携帯・スマホ利用状況と格安SIMの認知度の調査で、約80%を大手3社が占めている状態です。

出典:MMD研究所 参考URL

出典:MMD研究所 参考URL

以上の調査では、格安SIMのことは知っているが内容は知らない、全く知らない、が50%以上を占めています。

※MMD研究所とは、モバイルマーケティングの情報を提供している会社

端末と通信料金セット販売

国内の約80%を占める大手キャリアの料金体系は、端末と通信料金のセット販売が基本となっています。

端末と通信料金のセット販売の背景としては、

  • 携帯電話は当初SIMと分離することができなかった
  • 携帯電話と通信サービスの提供は大手3社しか提供していなかった
  • 新機種の販売を促進していくため
  • 各大手キャリアはSIMロックにて顧客を囲いこむ必要があった

などが、SIMと端末の一体化を進めていったと考えられます。

SIM→携帯電話やスマホの利用に必要な通信回線の接続カード

SIMを購入するということは、そのSIMを発行している通信会社の回線を利用することを意味します。

乱暴な言い方をすれば一般消費者にとって、

端末を購入すること=モバイル通信回線を接続すること

という間違った認識を大手キャリアによって植え付けられてきたのだとも言えるのです。本来SIMとモバイル端末は全く別の商品であり、固定電話やPCのように回線と端末は分離して考えられていくべきなのです。

端末代分割と縛り契約の罠

このように、個別に販売されるべき端末と通信サービスの一体化は、大手キャリアによってさらに複雑な仕組みへと進化していくのです。

端末代金と通信サービス一体化の大まかな料金の仕組みは、

  • 端末代金を割り引いて、月々の分割代金を安くしていく
  • 古い機種を買い取り、新機種への代金の1部に充てる
  • 新機種を購入することで、月々の通信料が安くなる

といった内容となり、さらに、

  • その他オプションを割引き、無料で利用できる
  • 家族割りで割引が適用される
  • ネットと併用すると割引が適用される

といったように、割引きを重ねていけばいくほど、料金は不透明さを増していき、結局何にいくら払っているのかが分かりにくくなってしまいます。

もちろん、端末と通信料金の一体化を全面的に否定するわけではありません。実際に手元に現金が不足している時には、この仕組みのおかげで助かったと思う人も多いことでしょう。しかし、これらの利点を受けていくためには縛り契約が必要不可欠となります。

端末や通信サービスを安くしていきたいという消費者の切実な思いは、このような通信サービスの仕組みを加速させてしまうのです。

複雑に渦を巻いていく端末代金と通信サービスのセットはいつしか2年縛り、4年縛りへと姿を変え、消費者のほとんどが、何だかよくわからないけど必要だから使っているというのが現状ではないでしょうか。

ここで、問題となる点は、

  • なぜ、端末とSIMが個別のものであるという説明がないのか
  • なぜ、大手キャリアでは端末とSIMを個別で購入できないのか
  • なぜ、半永久的に縛り契約が適用されるのか

以上の疑問が消費者の心底に残ってしまうでしょう。

海外の通信事情

先述のように、このような現象が日本独特のものであることに軽く触れましたが、海外の通信事情はどのようになっているのでしょうか。

まず、携帯電話の電話の普及率が成熟期に達したと言われる2007年に焦点をあててみます。野村総合研究所が行った調査統計を参考にしてみたいと思います。

プリペイドSIMの普及比率が高い海外

海外では、SIMロックがかけられて、一定期間は他者のSIMが使えないものもありますが、一般的にSIMと端末を個別で買えることの認識は高いと言えます。以下の調査の数字を見てもわかるように、すでにこの時点で、プリペイドSIMの利用者はヨーロッパ地区では60%~90%の比率を占めています。

出典:野村総合研究所 参考URL

反面、アメリカではわずか5%、日本でも10%となり、端末とSIMのセットによる通信会社との契約が主流となっているようです。アメリカではAppleがSIMフリーの端末を発売し始めることで、SIMと端末を切り離した考え方が普及していき、現在SIMフリーの端末を販売するメーカーも多くあります。

契約形態

端末と通信サービスのセット販売は、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカなどでは一般的に普及している契約形態となりますが、拘束期間や違約金は日本の事情と大きく異なります。

セット売りをしている国においては、拘束期間として12カ月~24カ月、違約金として残存期間の基本料金を支払う契約形態が多く、アメリカの場合は日本と同様に利用期間に関わらず一定の違約金を支払わなければなりません。

セット売りに対して2年間契約が延々と繰り返されるのは、日本特有の現象だと言えます。

月額料金

月額料金に関してはH26年の総務省調べによると、一般ユーザーの通信料金の平均は約7,200円で、世界で上位3位に入っています。

出典:総務省  参考URL

また、注視すべき点は、通信利用量の少ないライトユーザーへの選択肢が国内では乏しいと思える点です。
ライトユーザーの平均支払い額では、世界で最も高い料金となっています。

出典:総務省 参考URL

端末代を節約するつもりが、2年縛りや4年縛りに拘束されてしまい、利用量が少ないにもかかわらず、他のサービスへと切り替えられない現在の通信事情がこの数字に表れていると言えるでしょう。

その根底には、通信サービス、つまりSIMを購入するためには端末ごと購入しなければならない、SIMだけを購入できることが知らされていないといった国内の異常な常識があったからだとも見ることができます。

国内ではAppleなどのSIMフリー端末が登場し始めたことで、端末とSIMを分けることができるという認識が広まりつつあり、2019年からは国によってSIMロック解除が全般的に義務づけられるようになります。

MVNOが切り開く新しい世界

携帯やスマホ端末を持っていれば、SIMだけを購入して自分に合った通信プランを組むことができる、これを実現したのがMVNOです。

MVNOとは、

Mobile Virtual Network Operater (仮想移動通信体) を略したもので、自社では通信基地を保有せず、大手キャリアのもつモバイル通信設備を借りて通信サービスを提供する業者全体をいいます。

基本的に大手キャリア(MNO)と区別するために、格安SIM、格安スマホとも呼ばれている業者のことで、現在では700社以上の数のMVNOがあるのです。

Man
MVNOによって、大手3社以外にも通信サービスが提供できるようになったんだね。MVNOとは、いつ頃からどのように始まったの?
Expert
2001年に最初のMVNOである、日本通信が格安SIMによる通信サービスの提供を始めます。

MVNOの普及の流れ

2001年
日本通信は、現在のウィルコムであるDDIポケットのモバイル通信電波を借りてサービスの提供を始めます。

2007年:総務省によるMVNO通信事業の推進が開始される
ドコモ通信エリアに対応するサービスを日本通信が提供を始める

2010年:データ通信と通話通信の両方が可能なSIMの提供が開始され
SIM単体での販売が始まる

2014年:イオンがスマートフォンの販売を始めたのをきっかけに全国的な規模でMVNOが続々と登場する

2017年:Iot向きのサービス拡大に向けてMVNO各社の競争が強化されていく
大手キャリアからMVNOへの切り替えが普及していく

というように、MVNOが提供する端末と通信料金が分離したサービスが登場し始めてからまだ3年くらいにしかならないのです。おそらくMVNOという言葉や、格安SIM、格安スマホなどを聞いたことがある人は多くても、切り替えるまでには至っていないのが現状でしょう。

MVNOが与える価値観

これらMVNOが私達に与える新しい価値観とは、

  • SIM(通信サービス)だけ格安プランで検討していくことができる
  • 携帯・スマホ端末だけ格安で購入することができる
  • 2年、4年縛りに拘束されることがない(縛り契約になる場合もあります)
  • 端末代と通信サービス料金を分けることができる
  • 新機種を通信サービスのために購入する必要がなくなる

といった内容となり、今後は国政によって中古スマホや格安料金プランを推進する動きが強まっていくことからも、新しいMVNOの通信サービスを検討する人も増えていくでしょう。

端末と通信料金の完全分離

11月の政府規制改革推進会議によって、2019年には携帯・スマホ端末と通信料金を完全分離していくことが計画されていますが、通信端末と通信料金が完全分離される利点とデメリットを考えていきたいと思います。

完全分離の利点

完全分離することで、大手キャリアは通信端末の割引き分を月額料金に反映することができなくなります。そうなると、基本的な月額料金自体が安くなって提供されることが期待できます。

完全分離とは、端末、通信サービス(SIM)の販売を完全に切り離していくことですから、

  • 通信端末を何処からでも購入することができる
  • 通信サービスの選択肢ができる

というように消費者が今後は自由にそれぞれを選ぶことができるようになります。そうなることで中古スマホ市場も活性化していき、安い端末による安い料金プランの実現が可能となるのです。

完全分離のデメリット

ただ、上記で述べた利点が必ずしもすべての人にとってメリットとなるわけではありません。

消費者の中には、最新機種がどうしても購入したかったり、古い端末が壊れてしまって新しい機種の購入が必要な場合には、従来の端末割引によるお得な月額料金プランが組めないという結果になってしまいます。

2年縛りでも4年縛りでもいいから、とにかく負担をかけずに最新機種と通信サービスをセットで利用していきたい人にとってはマイナスとなる要素が大きくなります。

お得な通信料金を選ぶ

 

以上のように利点やデメリットを見てみると、もし最新機種にこだわらないのであれば、今後は利用状況に応じて各自好きな端末、好きな通信プランを選ぶことで通信費がかなり節約できることになります。

現時点では、NTTドコモ、ソフトバンクは2019年には完全分離化を目指した料金システムを途用していく旨を発表、KDDIはすでに導入していると主張しつつ検討していく旨を発表しております。

ただ、ここで問題となるのは、大手3社とも具体的に端末とSIMをそれぞれ個別で購入できるのかについては一切触れていないことです。いくら、端末と通信料金を分離するといっても個別で購入できなければ意味がないということです。それに、縛り契約という、まだ未解決の難題も大手3社には残っています。

そうであれば、この機会にすでに完全分離化を実行している、MVNOへと切り替えておくのも1つの方法です。

MVNOを選ぶ

では、代表的なMVNO(格安SIM)をいくつか紹介しておきますので、是非、どんなSIM(通信サービス)があって、料金プランはどうなっているのかを公式サイトにてご覧になって見て下さい。

これだけの選択肢があるのか!こんなに安いプランがあるのか!と知らなかったことを悔しく思う人も多いことでしょう。

また、失敗しないようにお得に格安SIMへと切り替える手順は以下のサイトを参考にしてみて下さい!

まとめ

大手キャリアによって、モバイル通信のインフラ設備は、世界でも有数の高性能を誇り、私達は便利で快適な生活が送れるようになりました。大手キャリアの通信設備がなければ、MVNOもサービスを提供することは不可能です。

そういった意味では、大手キャリアが私達に与える恩恵は測り知れないほど大きく、心から素晴らしい事だと思えます。

しかしながら、通信回線の仕組みや通信端末の仕組みが素人にはわかりづらいことを逆手にとって、消費者を縛り契約にて拘束し続けることは黙視できない事実です。

通信端末と通信料金が分離できるということは、通信端末と通信サービス(SIM)も分離して提供できるもの、個別に購入できるものなのだということを大手キャリアはきちんと説明すべきです。

料金プランをシンプルにしていく、端末と通信プランを切り離すことで充分な選択肢を消費者に与えていく、というのがこの「完全分離」が提起された理由です。

通信端末とSIMの関係が理解できれば、端末さえあれば割安なSIMを何処かで購入すればいいだけなのだとわかります。SIMはあるから端末だけ選びたい時には割安のスマホをオンラインで何処からでも購入することができます。そんな当たり前のことが、MVNOでは可能です。

この機会に、今後快適でお得な通信サービスを使っていくお役に立てればと思います。

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