法人カード6種類を比較紹介。チェックポイントを押さえ目的や予算にあった法人カードを選ぼう!

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企業や個人事業主が所有できる「法人カード」ですが、経費の清算や支出管理などを行う上で便利で手軽な決済手段となっています。

 

現在様々な法人カードが発行されておりますが、年会費の有無や利用限度額、付帯サービスの違いなど、利用するにあたっては多くの事柄を考慮しなければなりません。

 

また、1人事業主の形態で利用するのか、複数人の社員で利用するのかといった条件によっても、適切なカードが変わってくることとなります。

 

そこで本ページでは、法人カードを選ぶ際にチェックすべき重要な項目の説明と、現在発行されている6種類の法人カードを比較しながらそれぞれのカードの特徴を紹介していきます。

 

 

*法人カードの基本的なことを知りたい方はこちら:

法人カードとは?個人事業主や企業が法人カードを作るメリットまとめ

 

 

 

 

法人カードの比較にあたってチェックすべきポイント

 

そもそも法人カードは実に多くの種類が存在し、その事実だけでもカード選びを難しくさせるものであります。

 

また、各カード会社ウェブサイト上の説明の仕方におきましても、カードの最も売りとなる部分を全面に押し出して表示し、年会費や利用限度額といった肝心の部分はページの中盤~下の方に記載されていたりといった現状が多く見られます。

 

そこで法人カードを比較し選ぶにあたってまずは以下の項目を検討し、後のカード選定作業を正確にスムーズに進めるのが賢明です。

 

 

検討するポイント

「年会費」

年会費が無料の法人カードと有料のカードでは、有料のカードの方がサービスが充実してくるのは想像しやすいことと思います。また、有料でもその金額が高くなればなるほどサービスが手厚くなるのが一般的な傾向です。

 

Expert
ただ、何がお得になってくるのかをしっかりと把握することが大切です。

 

 

 

例えば年会費が5万円の法人カードで、海外出張旅行での宿泊サービスが優れているといった場合、業務で一定以上の海外出張がなければその法人カードの利用価値はありません。

 

しかし、業務で海外に行く必要がありながらも、海外経験が少なく不安がつのる場合であったり、年齢が高めで体力等に自信が無いといった場合、その年会費も一方的に高い出費と言えるものにはなりません。

 

出張先で顧客との待ち合わせに間に合わせることを最優先させるため、荷物運びや各種手続きにおける通訳サービスをコンシェルジュに連絡をとり手早く済ませ、商談等をきっちり成立させるといった使い方もあるわけです。

 

これは、利用する社員の資質や社会経験に焦点を絞った考え方の例です。業務内容やオフィス内の状況などによって他にも様々なケースが考えられてきます。

 

 

「ショッピングの利用限度額」

利用限度額が高ければ便利ではありますが、社員による思わぬ使いすぎや返済の遅れに注意しなければなりません。

 

最も簡単な限度額の選び方としましては、

  • これまでの支出の実績から算出する平均的な月間支出額
  • 緊急時のことも考慮しその平均支出額より3割程度多い額

 

 

ちなみに、ポイントプログラムなどをうまく利用すれば経費の節減も期待できます。

 

そして、法人カードの利用はあくまでも決済作業の簡素化・支払い実績の明瞭化を第一に考えた場合、これまでの支出の実績を重視し上記のような簡単な計算から導き出された額を限度額の選定に利用するのが賢明です。

 

 

 

「キャッシング限度額」

通常の出費は上記ショッピング枠でまかなっていくことが大半となれば、それほどこだわる項目ではありません。

 

各法人カードにはキャッシング枠が設けられておりますが、ショッピング枠より限度額が低いものが多く、またカード会社としてもその使途によっては会社の財務体質を懸念する場合があり、積極的に検討に含めるべきものではありません。

 

 

「利用人数」

社員カードの作成枚数ですが、社員カードにおきましては年会費が本カードの1/3程度かかるものが多く、その分の負担を考慮する必要があります。

 

作ってはみたものの、利用する機会も少なく保管庫に余らせてしまっているというのはよくありません。

 

法人カードは社員証などのような単なる物品ではなく、使わなくても年会費が発生してしまうカードが多いので、枚数の決定は慎重に行うべきです。

 

 

「ショッピング補償額」

多くの社員をかかえ日々多くの決済が行われますと、確率論として法人カードの盗難や事故が発生してしまうのは避けられないことです。

 

各カードにおける補償額は100~500万円程度となっているものが多いです。金額の違いは契約しているカードのグレードによります。

 

また、国内外問わず利用者への傷害保険が付いている法人カードが一般的で、業務内容によっては年会費との絡みも踏まえチェックが必要な項目となるでしょう。補償金額としては最大で1億円程度、通常は3,000~5,000万円としている法人カードが多いです。

 

 

法人カードの比較・選定にあたって

上記の各項目を均等に踏まえたスタンスを取るか、いずれかに特化させるか、大きく分けてこの2つのパターンから検討していくのが現実的であり簡単です。

 

出費を抑えた方向でいくか、業務の効率性を選ぶか、社員の行動パターンを考慮するか、それらを平準化させるようにするか。

 

いずれにしましても、全てを補うことは難しく、一部が犠牲になってしまうのは仕方のないことであります。

 

まずはカードそのものを比較するよりも上記に上げたカードの基本的な性質を理解し、同時に事業所・オフィス内の実態を把握して、そして優先させるべき項目を決定することがベストです。

 

 

 

法人カードを比較

現在発行されている法人カードから6種類のカードを紹介します。できるだけそれぞれ異なる特徴をもったカードを選んでみました。

 

*内容は全て2018年11月現在のものです。

 

 

三井住友ビジネスカード for Owners

 

 

クラシックカード ゴールドカード
年会費 1,375円(税込) 11,000円(税込)
年会費(初年度無料規定) あり あり
社員カード年会費 440円(税込) 2,200円(税込)
ETCカード(初年度無料規定) あり 同左
ETCカード(翌年度以降無料規定) 550円(税込)*前年度1回以上の利用で無料 同左
ショッピング利用枠(最大) 150万円 300万円
支払い方式 1回払い、リボ払い、分割払い、2回払いなど 同左
クレジットブランド VISA、Mastercard VISA、Mastercard
ショッピング補償/国内(最大) なし 300万円
ショッピング補償/海外(最大) 100万円 300万円
国内旅行傷害保険(最大) なし 5,000万円
海外旅行傷害保険(最大) 2,000万円 5,000万円

 

 

「個人事業主や開業間もない企業に最適」

上記の表では2種類の法人カードを掲載していますが、最上位ランクとして「プラチナカード」もあります。

 

三井住友の法人カードは、申請において登記簿謄本や決算書が不要であり、事業歴の短い個人事業主でも申請しやすいのが特徴です。

 

基本クラスである「クラシックカード」は、本カードや社員カードの年会費、ETCカードの安さが魅力ですが、ショッピング利用枠が最大150万円であることや、旅行補償が他のカードに比べちょっと物足りないのが欠点です。

 

ただ、通常の決済額が低めで従業員数が多くないスタートアップ的な企業や、法人カード導入の経験がない会社が最初に導入する法人カードとしてはリスクが低めであり最適です。

 

また、様々な資金調達方法を検討し、この法人カードはそのリスクヘッジやサブカードの一つとして捉えれば、十分その機能が活かされてくるようになります。

 

 

JCB法人カード

 

 

一般カード ゴールドカード
年会費 1,375円(税込) 11,000円(税込)
年会費(初年度無料規定) あり あり
社員カード年会費 1,375円(税込) 3,300円(税込)
ETCカード 無料 同左
ショッピング利用枠(最大) 最大100万円 250万円
支払い方式 1回払い、リボ払い、分割払いなど 同左
ショッピング補償/国内(最大) なし 500万円
ショッピング補償/海外(最大) 100万円 500万円
国内旅行傷害保険(最大) 3,000万円 5,000万円
海外旅行傷害保険(最大) 3,000万円 1億円

 

「外出や出張が多い業務でお得な法人カードです」

一般カードの年会費の安さが非常に魅力ですが、JCBの場合は「ゴールドカード」もなかなか見逃せないカードとなっています。

 

年会費は11,000円(税込)ですが、ショッピング利用枠が最大250万円と大きく、またETCカードは審査によっては何枚作成しても年会費無料なのが非常に大きなポイントです

 

海外旅行傷害保険が最大で1億円という額も、もっと年会費がかかるアメリカン・エキスプレスカードと同額であり、ETCカード無料と合わせ国内外への出張が多い業務で大きな力となってくれます。

 

またJCBで運営している「Oki Dokiポイント」は1ポイント3円のレートでカード利用料金の充当にも使えることから、経費節減を行うこともできます。

 

 

楽天ビジネスカード

 

 

 

楽天プレミアムカード・ビジネスカード(合算で掲載)
年会費 12,200円(税込)
年会費(初年度無料規定) なし
家族カード 550円(税込)
ETCカード あり(1枚目無料、2枚目より550円(税込))
ショッピング利用枠(最大) 300万円(両カード合算)
支払い方式 1回払い・リボ払い・分割払いなど(ビジネスカードは1回払いのみ)
クレジットブランド VISA、JCB、Master、Amex(ビジネスカードはVISAのみ)
ショッピング補償(最大) 300万円
国内旅行傷害保険(最大) 5,000万円
海外旅行傷害保険(最大) 5,000万円

 

 

 

「経費・私費の区分けやポイントサービスが魅力」

こちらはちょっと形態が特殊な法人カードで、「楽天ビジネスカード」と「楽天プレミアムカード」の両方を所有することで法人カードとしての機能が発生します。

 

もともと楽天プレミアムカードが一般個人に発行されていて、そのサービスがなかなか充実したものであることから、独立した法人カードを創設せずに上記のような体裁をとったという感じです(筆者分析)。

 

実際のカード利用においては、ビジネスカードは法人口座を登録し、プレミアムカードは個人口座を登録します。これによってカードを使い分けることで明確に経費と個人利用の出費を分けて管理することができます。

 

カード会社の方から2種類のカードが渡されるのが煩わしいと思われるかもしれませんが、それによって支出に対する「意識づけ」の効果が期待できる面があります。

 

プレミアムカードとしては、国内宿泊施設の予約手配サービスや空港ラウンジ無料特典、楽天トラベル等を経由した楽天ポイントの優遇などあります。

 

そして、通常の楽天会員資格がそのまま活かせることから、プライベートで得た楽天ポイントも業務で使うことができ、生活の全てで楽天サービスを活かしてもらおうという姿勢が強いです。

 

楽天ポイントも基本的に100円で5ポイントが付くなど高還元であり、さらに多くのポイントアッププログラムと合わせることで、高い経費節減効果が期待できます。

 

Expert
「決済は公私を分けポイントは混合」という具合です。

 

 

 

 

その他に海外レンタカーやwifiの利用割引、「プライオリティ・パス」特典、「楽天プレミアム」(年会費3,900、初年度無料)など豊富で細やかな付帯サービスや、他の法人カードより日常生活でも使えそうなサービスが多く揃えられています。

 

 

 

エグゼクティブ ゴールド フォー ビズ エス

 

 

 

エグゼクティブ ゴールド フォー ビズ エス
年会費 2,200円(税込)
年会費(初年度無料規定) あり
ETCカード 無料
ショッピング利用枠(最大) 300万円
支払い方式 1回払い、分割払い、据置き一括払いなど
クレジットブランド VISA、Master
ショッピング補償(最大) 100万円
国内旅行傷害保険(最大) 1,000万円
海外旅行傷害保険(最大) 2,000万円

 

 

「個人事業主の資金調達を幅広くサポート」

オリコが発行している個人事業主専用の法人カードです。

 

年会費が2,200円(税込)とリーズナブルでありながらショッピング利用枠が最大300万円というのは個人事業主としてはありがたい仕様です。

 

法人カードのキャッシングに関しては通常ですとそれほど力をいれていないものが多い中、オリコウェブサイト上ではキャッシング(最大100万円)の案内がカードの特徴の1つとして普通にされております。

 

 

オリコでは割と好意的にキャッシングや融資の案内がされていてその敷居の低さがポイントです。

 

この法人カードのページに近いところで融資ローンサービスも案内され、事業系の出費でしか利用できないのは当然としても、うまく利用することができれば個人事業主が資金調達を考える上で大きな頼りとなるものです。

 

出典:(株)オリエントコーポレーション

 

 

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード

 

 

 

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
年会費 22,000円(税込)
年会費(翌年度以降) 200万円以上の利用で次年度会費が1.1万円(税込)
社員カード年会費 3,300円(税込) *4枚まで
ETCカード 無料
ショッピング利用枠(最大) 会員の利用状況による
支払い方式 リボ払い、1回払い、ボーナス一括払いなど
クレジットブランド Amex
ショッピング補償/国内(最大) 300万円
ショッピング補償/海外(最大) 300万円
国内旅行傷害保険(最大) 5,000万円
海外旅行傷害保険(最大) 1億円

 

 

「付帯サービスが充実した法人カード」

国内外の出張等における便利でお得なサービスが豊富なのが特徴です。

 

例えば「ビジネス・アドバンテージ」というサービスでは、海外高級ホテルの手配や優遇利用、「ザ・リッツ・カールトン東京」、横浜の「インターコンチネンタルホテル」などにおいてはチェックイン時に空室があれば上位グレードの部屋へ変更することができるサービスなどを行っています。

 

また星を獲得しているレストランや高級ホテルなどで開催されるイベントを案内する「Dramatic Time!」といったサービスも行っております。まさにプラチナカードといった感じです。

 

出典:(株)クレディセゾン

 

 

その他海外ショッピング枠の一時増額、海外ATMでの現地通貨の引き出し、上記「ビジネス・アドバンテージ」において宅配便や即配サービス、弁護士の紹介、フィットネスクラブの法人優待価格での利用など多彩なサービスを提供しています。

 

「永久不滅ポイント」や「マイル」の取扱いにももちろん対応しております。

 

 

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード

 

 

 

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
年会費 31,100円(税込)
年会費(初年度無料規定) あり
社員カード年会費 12,200円(税込)
ETCカード 550円(税込)
ショッピング利用枠(最大) 会員の利用状況による
支払い方式 1回払い、リボ払い、分割払い、ボーナス一括払いなど
クレジットブランド Amex
ショッピング補償/国内(最大) 500円
ショッピング補償/海外(最大) 500円
国内旅行傷害保険(最大) 5,000万円
海外旅行傷害保険(最大) 1億円

 

 

「支払い能力や交渉力がショッピング枠決定のポイント」

上記のセゾンプラチナカードと同様海外旅行・出張などでの優待サービスが豊富です。

 

カードの利用においては、ショッピング枠・キャッシング枠の設定が予め決まっておらず(公表されておらず)、高額利用者の信頼性が重視された融通性の高い使い方ができるのがポイントです。

 

ただ一方で、利用に際し事前承認が必要となるケースもあることから、普段からコンシェルジュサービスなどの利用を通してカード会社側の息遣いをある程度つかんでおくことも大切となってきます。

 

それでも個人事業主の申請が可能なことや各種保険の案内(旅行傷害保険、自動車保険、ペット保険など)、家族・友人等の紹介でボーナスポイントがもらえるなど、当カードを多くの層に浸透させようとしているこだわりのない側面もあります。

 

今後も分かりやすく手軽なサービスを期待したい法人カードです。

法人カードランキング

 

まとめ

様々な法人カードを比較するにあたっては、ショッピングやキャッシングの利用枠、年会費といった部分が気になるところですが、業務内容やリスク面、利用者の特性といった目の前の現実を考慮して検討を行うべきです。

 

金銭面だけではなかなか最適な法人カードを選ぶのは難しいものです。上記6つのカードの例のように法人カードは様々なニーズに対応できる可能性がありますので、出費と運用をバランスよく考えることが大切です。

 

 

 

*法人カードとは何?法人カードの特徴やメリット・デメリットなど:

法人カードとは?個人事業主や企業が法人カードを作るメリットまとめ

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