空き家問題とは何?空き家問題が不動産市場に与える影響を解説!

SHARE

国内の空き家の数は、現在では820万戸以上になると言われ、空き家問題として各メディアでも取沙汰されています。増え続ける空き家の数への対策として、平成27年に「空き家対策特別措置法」が実施されることになりました。

同時に空き家の2次活用として、中古住宅DIYによるマイホームの購入や民泊、その他店舗・オフィスへの活用も最近では注目されており、国や地方自治体による中古住宅の再利用を支援する動きが見られています。

つい先日も、空き家活用をメインにした不動産投資サイトがスタートアップ企業によって開始されるニュースが日経新聞にて報道されています。

今後の展開が興味深い空き家問題と中古住宅市場ですが、空き家問題とはそもそも何なのかと疑問に思う人もいるでしょう。

今回は空き家問題について解説しながら、空き家問題が今後の不動産市場に与える影響を、独自の視点から解説していきたいと思います。

空き家問題とは

まずは、空き家問題とは何なのかを詳しくご説明しておきましょう。

空き家問題とは、用途不明、つまり放置状態にある空き家の数が著しく増加している現象のことを言います。用途不明、放置状態にある空き家の数が増えることがどうして問題になるのでしょうか。

空き家が増えるとどうなる?

上記のような空き家が増えることで、懸念されている事は・・・

  • 管理されていない建物による危険性

古い建物は、倒壊したり破損する恐れがあります。屋根瓦や窓ガラスの落下などによって、通行人や近隣の者に危害を与えてしまう可能性があります。

  • 治安の悪化や犯罪との関連性

建物が無人で放置されることによって、不審者の不法侵入や放火や過失による火災を引き起こす原因となってしまいます。外部からは室内が見れないことで、違法売買、性犯罪に利用される恐れもあります。

  • 衛生上の問題

動物のフンや死体などが蓄積され、異臭や病原菌を繁殖させる可能性があります。また、ゴミの不法投棄の機会となったり、雑草や落ち葉などによって建物の腐敗を進行させてしまいます。

  • 景観への悪影響

長年に渡って、放置された空き家は見た目にも異質な印象を回りに与えてしまいます。空き家に関連する怖い噂が広がってしまったりと、その家を避ける人が増えてしまったり、町全体に悪影響を与えてしまいます。

  • 地域経済の不活性化

その家が空き家だということは、誰も住んでいない状態だということです。誰も住んでいない、住む予定のない家が増えることで、地域の過疎化を進めて地域経済を不活性化してしまう恐れがあります。

空き家の種類

以上述べてきたような空き家のタイプは、空き家の種類でいくと「その他の住宅」に分類されて最も増加傾向にある空き家となります。

空き家の種類は、

  • 別荘や2件目の家として使われる「2次住宅」
  • 賃貸用として使われる「賃貸住宅」
  • 売却用として使われる「売却住宅」
  • 用途不明な「その他の住宅」

の4種類となります。「その他の住宅」の増加が全体の空き家数を押し上げている状態にあるのです。

空き家が増えた原因

空き家が急激に増えてしまった理由としては、相続によって家を取得した事が発端となっていると見れるようです。

以下の表は、どのような経緯で空き家を取得したのかを表したもので、相続による取得が50%以上を占めています。

出典:国土交通省 参考URL

さらに、相続した家の用途が決まっていないことが、用途不明、放置状態の空き家の数を加速させたのだと言えるでしょう。

以下のグラフからもわかるように、今後の空き家の使途を明確にできないケースが約70%を占めているのです。

相続したが利用する予定がない→50.3%
後継者がいない→24.6%

出典:国土交通省 参考URL

空き家問題への対策

そこで、これらの空き家問題に対する対策にはどのようなものがあるのかを見ておきたいと思います。

  1. 倒壊の危険性が高い空き家を規定し、税金負担や罰金などを課す
  2. 空き家バンクなど、各自治体による再利用への支援
  3. 空き家管理サービスによる空き家の管理
  4. 民間企業による空き家情報の活性化
  5. 税制や保険の優遇など中古住宅購入を推奨する仕組み
  6. 空き家を利用した中古住宅DIYなどによる民泊化
  7. 地方への移住者を増やすための地方創生補助金の支給

以上のように、用途不明な空き家をどうするのかを促すような対策が進められ、

空き家を「処分する」「売却する」「賃貸にする」

というように空き家を放置することで、罰金や税金がかかるのであれば、空き家の賃貸や売却を考えたいと思う人が増えてきたのが最近の事です。同時に自治体をはじめ、民間企業による中古住宅物件を取り扱うサービスが多く見られるようになりました。

購入する側も、高額な資金を払って割高な新築住宅を購入するよりは、現実的な価格で自分の好きなように改装できる中古住宅に目を向けるようになってきたのです。

空き家問題と住宅市場

空き家問題から次第に注目されるようになった中古住宅物件ですが、このような動きは現在の住宅市場にどのような変化を与えていくのかを考えてみましょう。

需要と供給のバランス

まずは重要と供給のバランスから考えていきたいと思います。国内で減少している人口と住宅の数に注視してみたいと思います。

総務省の統計によると、子供の数は昭和25年(西暦1950年)には人口の約3分の1以上を占めていましたが、現在では10分の1近くまで減少しており、反面、65歳以上の高齢者の数が全体の3分の1を占めようとしているところであります。

このことからも、今後さらに空き家の数が増加していくことが予想されています。

出典:総務省 参考URL

そして、国内の総人口数は2004年のを境に減少傾向をキープしています。このまま少子高齢化が進んでいけば、2030年には総人口は3300万人減少、高齢者は1,200万人増加していくだろうと言われています。

出典:国土交通省 参考URL

以上のことからも、住宅へのニーズも同時に低下していくことが予想できます。

出典:総務省 参考URL

総世帯数に対して、総住宅数の数ははるかに上回っており、総住宅数と総世帯数の差は年々拡大しています。需要に対する過剰な供給があるのが現状です。そのことが、さらに空き家の数を増加させてしまう結果になったとも見ることができます。

従来の住宅市場

日本は、米国やヨーロッパの住宅市場と比較すると、新築住宅のみに価値を見出す傾向が強かったと言えます。築年数が新しいものほど不動産の価値が高くなるという考え方が主流でした。

多くの国では、中古住宅を購入し、自分たちでリフォームを行う事はごく自然なことと見なされており、日本の中古住宅の流通状況はアメリカの約6分の1に留まっており、国内では使い捨ての思想が住宅にまで及んでいると懸念された記事が最近の日経新聞に掲載されました。

このような背景には、戦後から高度経済成長期にかけての急激な住宅の需要から、簡単なプレハブ造りの建売住宅が普及し始めたことが原因だと考えられます。敗戦後の日本は、住宅に不足していたこともあり、建てれば売れると考えられた新築建売住宅の流れがそのまま現代まで引き継がれてしまったのでしょう。

もともと簡素な作りであるプレハブ住宅の場合、当然、耐久年数も短くなってしまい、建て替えや住み替えが必要となってしまいます。そのような認識が広まるにつれて、かつては、数十年、100年以上と住むことが当たり前だった本格的な木造住宅の価値は一旦薄れてしまったとも考えられます。

近年の住宅市場

そして、首都圏での地価高騰にともなって、高額になりすぎた新築住宅の購入は非現実的な買い物と考える人が増えてきたこともあり、中古住宅市場が見直され始めているのです。

平成15年~平成25年にかけての国土交通省の住宅に対する意識調査によると、中古住宅の方がよいと考える人や、新築にこだわらないという人の数が約半数を占めるようになってきています。

出典:国土交通省 参考URL

今後、増え続けるであろう中古住宅数からも、新築住宅に対する需要は低下していくと見ている不動産アナリストも少なくないようで、空き家を活用した不動産投資の情報がオンラインでも頻繁に見られるようになりました。

空き家問題と不動産投資

Man
空き家問題を不動産投資に活かす方法にはどのようなものがあるの?
Expert
最近では、空き家を活用した民泊投資や賃貸投資が注目を浴びているようです。そのいくつかをご紹介しておきましょう。

楽待不動産投資

物件の改修や取得に関する支援制度が全国的に強化されてきていることを踏まえた、中古住宅で高利回りを実現していく不動産投資に力を入れています。

空き家バンクによる成約率が全国でナンバーワンの長野県佐久市は、物件の改修工事の費用3分の2を上限240万円で補助する制度があります。

補助金が支給される物件や、空き家バンクに登録されてある物件などを紹介する不動産投資サイトです。

健美屋不動産投資ニュース

こちらでは、全国の空き家に関する様々なニュースがご覧いただけます。

所有者不明の土地問題に関する政策や、東京都世田谷区の単身住宅に関する最新情報、東京オリンピック村などの東京湾岸地域の空き家情報など、今後の不動産投資のヒントになる情報が豊富です。

FANTAS funding

ベンチャー企業FANTAS technology株式会社は、空き家再生プロジェクトや投資用中古マンションを投資対象としたオンライン不動産投資型クラウドファンディング事業を開始しました。

投資金額は1口1万円から、最短で4カ月からの運用期間があり、オンライン上で不動産に投資を行い、家賃収益や売買収益に基づいた分配金を受け取ることができる仕組みになっています。

空き家への少額出資がたったの30秒で完結するという、新しいタイプの不動産投資です。

中古物件とリフォーム

Man
空き家問題から普及するとみられる、中古物件のリフォームに特化した不動産投資にはどんなものがあるの?

REISM

デザインや間取り、オリジナル性の高いリフォーム・イノベーションによる不動産投資サイトです。リフォームによって魅力的な賃貸物件へと変わる可能性の高い、金の卵とも言えるような中古物件に注力していて、関東エリアを中心に不動産を選ぶことができます。

最近では20代、30代の独身オーナーが増えているとのことです。e-bookの無料ダウンロードや無料セミナーなどの特典も参考にしてみて下さい。

DIYP

米国の賃貸物件のように、賃貸だけど借主が内装を好きなようにリフォームできる物件の情報サイトです。これから物件を購入する際にはこのような方法もあることを知っておくと便利です。

不動産投資としての大きなメリットは、リフォーム費用がほとんど必要なく中古物件の不動産投資ができることです。関東、関西、福岡市などの首都圏をメインに情報を公開しています。

まだ、日本では馴れないシステムにはなりますが、これからの需要も期待できるかもしれません。

サテライトオフィス

総務省が推奨しているサテライトオフィス・プロジェクトは、企業や団体が本拠地とは離れた場所にオフィスを設置するプロジェクトで、地方創生の一環として考えられているものです。

自然環境の整った地方の空き家をリフォームして、サテライトオフィスとして企業やオーナーあてに提供することができます。

不動産投資と中古住宅の可能性

問題となっている空き家も、活用次第では十分に不動産投資として収益を上げていくことが期待できそうな今日ですが、今後の不動産投資はどのような展開が予測できるのでしょうか。

  • 東京オリンピック
  • IT技術と地方創生
  • 訪日外国人と産業
  • 単身世帯の増加
  • 新しい価値観

以上の5つポイントに視点を絞って検証していきたいと思います。

東京オリンピック

不動産投資において、まず1つの大きな転機となるのが2020年の東京オリンピックです。オリンピック開催時に必要となる宿泊施設を見込んだ東京周辺の地価高騰に期待が集まっています。

オリンピックに使われる競技場、会館近辺の地域や選手村近辺ではすでにインフラ整備が進んでおり、新築・中古マンションの販売なども今活発に行われています。

ホテルや宿泊施設、民泊経営に乗り出す企業も増えており、2019年に突入すると、さらにその数は増えてくるでしょう。

リーマンショック以降は慎重な動きが見られていた不動産市場ですが、2020年に向けて盛り上がりを見せていくことが予想されています。ただ、オリンピック以降の不動産の価格が一気に下がるのではないかといったことも懸念されている状態です。

IT技術と地方創生

オリンピック以降の不動産市場の流れを予測するとすれば、おそらく地方における中古住宅の売買が活性化していくことが期待できます。

高齢化、核家族化、少子化などによって国内の人口減少が深刻な問題となる中、一方では、介護や育児、高齢になった両親との同居などで在宅勤務を推奨する動きが多くの企業に見られています。

IT技術の進展・普及にともない、勤務地にこだわる必要のない職種も増えてきています。

また、同時に過疎化の進む地方の市町村では地方創生推進交付金を支給するなどして、これまでの首都圏集中型の生活スタイルから地方分散型の生活スタイルへと変えていく動きが強まっています。

首都圏にこだわる必要がなくなれば、交通渋滞のない、豊かな自然環境やゆとりのあるスペースが確保できる地方の住宅が見直されていく可能性があると言えるでしょう。

訪日外国人と産業

国内における住宅の需要は、確かに人口減少とともに低下していくであろうことは、誰が見ても明らかではありますが、その数字に反比例して上昇していくと見られているのが、訪日外国人の宿泊施設や賃貸住宅の需要です。

訪日外国人の数は、2018年上半期の統計では過去最高の15,000人を突破しており、観光客だけでなく、就労や学業を目的にした長期滞在者の数も増加傾向にあります。

高齢化や人手不足が深刻な問題となる中、もはや国内の産業は外国人の手を借りずには成り立っていかない状態であるとも言えます。国や地方自治体は、外国人の受け入れ体制を強化しており、特に跡継ぎ不足による地方産業の退廃を食い止めていこうとしています。

従って、観光地だけにとどまらず、地方においても長期滞在の外国人における賃貸の需要が高まっていくでしょう。

単身世帯の増加

独身世帯の数が年々増加していることも、不動産市場に今後大きな影響を与えていくだろうと見ることができます。

独身(単身)世帯の数は2015年1,842万世帯から2040年には2,025万世帯に増えることが予測されており、中でも65歳以上の単身世帯が増加していくだろうと言われています。

夫婦のどちらかと死別してしまい単身になる人、未婚状態でそのまま単身生活を送る人などにとって、数部屋ある大きな家よりも、一人暮らし様のコンパクトな住まいが好まれます。

医療や介護、デイサービスなどの高齢単身者にとって暮らしやすい環境で暮らしたいと考える人も増えてくるでしょう。空き家を活用した、高齢者向けの施設やサービスの展開が不動産市場にも影響を与えていくだろうと考えられます。

新しい価値観

 

近年においては、様々な価値観が存在する中、人々のライフスタイルも変化してきています。

これまで「価値のある住宅」だと思われてきた家に対する価値観は徐々に変化しつつあります。同じような外観、似たような内装といった建売住宅に魅力を感じない人達による個性的なDIYによる中古住宅が現われ始めています。

プライベートを重視する傾向から、生活空間に対するこだわりを持ち、住居は自分の好きなように築いていきたいと思う人が増えているようです。

そのような観点からも、中古住宅DIYなどの創造性の高い住宅が人気を高めていくでしょう。

また、独立や単身を主張しながらも、家族という体系にこだわらず、同じ価値観を持つ者と空間をシェアしていこうという動きも見られており、新しい地域社会のつながりが生まれようとしています。

まとめ

2009年のリーマンショックが起きて、不動産の地価が暴落してしまった時には果たして、どれくらいの人がそのような現象を読むことができたでしょうか。

リーマンショック以前に不動産を購入した人は、その不動産の価値は永遠に続くものと信じて疑わなかったはずです。人々の価値観は、その時々で変化し続けていきます。

需要があるところに供給があり、そしてビジネスが生まれ、それが価値あるものへと変わっていくのであれば、これからの社会には何が必要なのか、人々が必要とするものは何なのか、それを考えることが不動産投資を成功させるポイントになると言えるでしょう。

空き家問題は、ネガティブな要素を持つ問題として最初は提起されたものですが、徐々にそれは新しい価値を私達に見せ始めているのです。この機会に、比較的安価で購入できる空き家を使った不動産投資を考えてみませんか?

 

コメントを残す