そもそもETFって何?ETFの種類や投資信託との違い、メリット・デメリットをわかりやすく解説

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ETFってなに?

ETFは、株券、債券などの金融商品のうちのひとつです。日本の株券を売買する証券取引市場で、ETFを売買することができます。ETFの正式名称は、Exchange Traded Fundと書き、「証券取引所で取引される投資信託」という意味です。

投資信託は、ファンドと呼ばれる投資機関にお金を預けて、投資の専門家であるファンドマネージャーに、資産の運用を任せる金融商品です。投資家ひとりひとりの資産には限界がありますが、大勢から資産を少しずつ集めてファンドにすると大きな額の投資ができるので、投資の選択肢が広がります。

さて、ETFは、投資運用をファンドマネージャーに任せるという点では投資信託と同じです。なにが違うかというと、ETFは証券取引所に上場しているという点です。投資信託を、証券取引所で誰でも口座を持っていれば、株式のように売買できる商品として取引できるようにしたものが、ETFです。ETFは証券取引所で扱える金融商品なので、投資にかかる費用は、投資信託よりも安くなりますし、売買しやすい環境が整備されています。

また、買いだけでなく売りから投資を始めることもできるため、下落相場でも利益を出すことができるのが大きな特徴となっています。

また、ETFはそれぞれのベンチマークとしている指数に連動するように作られています。たとえば、TOPIX(東証株価指数)、日経225平均(日経平均株価)、JASDAQ-TOP20、東証マザーズCore指数といった国内株式指数。CSI300、ハンセン中国企業株指数、ダウ・ジョーンズ工業株30種平均、S&P500指数といった海外の株価指数。シティグループ 世界国債インデックスなどの外国債券指数、不動産指数、コモディティ(金や原油価格など)といった具合に非常にたくさんの指数があり、それぞれに連動するETFがあります。

ちなみに、一般にETFという時は、国内の証券取引所(東京証券取引所・大阪証券取引所)に上場しているものを指します。しかしながら、これ以外に海外の証券取引所、例えばニューヨーク証券取引所などにもETFはあります。むしろ、日本よりも米国などの方がETFの数は多いくらいです。このような海外の証券取引所に上場しているETFを「海外ETF」と言います。日本からも一部証券会社を通じて、こうした海外ETFへの投資は可能です。

海外ETFの魅力は、やはりその商品力です。日本でもETFの種類は増加しており、日本国内の指数への投資という意味では国内ETFで十分カバーできるのですが、外国株式、外国債券、海外不動産などへの国際的な投資という意味では、日本に上場している国内ETFでは力不足といった感が否めません。

たとえば、人気の海外ETFには以下のようなものがあります。
人気の秘密は、投資対象の広さはもちろんですが、信託報酬などの運用コストの安さも挙げられます。
下記のETFと同じレベル以下の運用しかできていないのに信託報酬はその数倍とっているというような投資信託もたくさんあります。

アメリカのバンガード・トータル・ワールド・ストックETF

米国株投資に興味を持つ理由に、「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)を買いたいから」と答える人も多く存在します。人気の理由は、世界中(先進国や新興国)の企業の株式に投資しています。投資先が47ヶ国で8,000銘柄以上で全世界の市場時価総額の98%以上をカバーするというのですから驚きです。一般的には85%程度をカバーしていれば、かなり優秀な部類だと考えられています。世界の経済を丸ごと買ってしまったような、かなりのスケールのETFです。

次も同じ会社が運営している、バンガード トータル・ストック・マーケットETFです。

「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」のパフォーマンスに連動する事を目指しています。
米国株式市場の銘柄(大型・中型・小型株)のほぼ100%をカバーしています。ワールドストックは全世界を対象としていましたが、こちらは米国経済に丸ごと投資をしたい人のためのETFです。また、これだけの条件が揃っているのに、年間経費は0.04%という低コストは非常に魅力的です。純資産も大きい人気のETFです。

投資信託のメリット

ETFは、投資信託と非常によく似たものだと先ほども説明しました。しかし、これは似て非なるもの、とも言われており、取引の中身には大きな相違点が多々あるのです。まずETFのメリットの一番目は、そんな投資信託との違いの中にあります。

ETFは、投資信託より、売買が簡単で、取引の過程もシンプルであるというメリットがあります。投資信託では、銀行から証券会社、そして保険会社など、さまざまな販売会社を経由して、投資信託の証券を売買しなくてはなりません。しかしETFならば、証券取引所に上場されているため、証券会社のみの経由で、売買することができるようになっています。

ETFでは、取引価格の決まり方も、投資信託とは異なります。投資信託の価格は、同じ取引の日であるならば、その日に基準となる価格が決まっているので、投資信託は1日の中のどの時間に売買してもその価格は同じとなっています。しかし、ETFの場合は価格が1日の間で、株式のように変動しています

これはETFが、証券取引所の取引時間内にETFを売る側と買う側で取引され、それによって値段が決まっているために、決まった価格にならないからなのです。つまりETFは、1日の間に利益を出すことができるというメリットもあります。1日ごとに価格が決まってしまっている投資信託とは違い、むしろ株式に近い存在と言えるでしょう。

ETFは、上場株式と同じように証券会社で扱われているので、インターネット上で簡単に注文ができますし、私たち個人投資家の出す注文の他、さまざまな要素で、ETFの値段も刻々と、秒単位で変動しているのです。

これは、取引の価格が決まってしまっている投資信託と比べて、とても動きやすく、注文も積極的に出せるというETFならではの取引方法です。例えば、投資信託では、株式市場が大暴落をしてしまって、すぐに注文を出しても、東京証券取引所ならば、午後3時まで値段が決まらないのです。思いもよらない値段で買わなければならなかったり、売らなければならなかったりするため、特に投資初心者の人には危険が伴う場合があります。

ETFでしたら即座に注文が出せるために、こうした場合にもすぐに対応できるのです。

ETFを購入する時は、その時に市場で付けられている値段以外にも、取引の販売手数料がさらに上乗せしてかかってしまいます。株式ならば、販売手数料だけなのですが、ETFでは信託報酬という手数料が追加でかかります。しかしETFは、この2種類の手数料が格安で済むのです。特にインターネット上で行うオンライントレードで、ETFの取引手数料、信託報酬は格安とされています。

信託報酬・・・

信託報酬とは、運用会社が銘柄を組み入れて運用する場合に発生する調査費用や人件費などに充てるために徴収する費用です。インデックス型ETFは運用会社で銘柄を選定する際の調査や手間が省けることから、低く設定されている特徴があります。

信託報酬は数字で見るとわずかな差に見えますが、これを長期的に運用していくと支払う信託報酬も大きな金額になります。そのため、ETFを選ぶ際は信託報酬が低いかどうかも重要になります。

ですが、このオンライントレードによる取引の手数料は年々低下してきています。 ETFの手数料は、国内業界平均で日本取引所グループ調べでは、0.060%~0.950%と公開しており、1%以下に設定されているETFが多いようです。証券会社によってはETFの手数料を一部無料にしてしまっているところさえあるほどなのです。なお、投資信託ですと、この手数料は、購入金額の約3%もかかってしまいます。

投資信託のリスク

ETFは、価格を構成する要素が多く、その分価格の上がり下がりが激しくなります。また、ETFの価格は、日々時間毎に変動しています。ですので、購入するタイミングが変われば、同じETFでも価格が変わってしまいます。

ETFの価格を決めている要素は、日経平均株価、為替の変動など、多岐にわたり、その全てに価格の影響を及ぼさています。例えばETFは、連動するインデックスという、日経平均株価やTOPIXといった、日本の株式市場全体の株価を示す指数にまず影響されています。これはETFだけではなく、株でも同じことが言え、株も同じように価格が影響されているのです。

さらにETFでは、需給と供給の関係でも価格が上下します。これは、ETFの需要と供給の関係です。多くの投資家が欲しいと思っているETFも、発行されなければ価値が上がっていく、つまり価格が上がります。そして、ETFが多く供給されすぎれば、逆に価値が下がり、価格も下がってしまうのです。

特に海外のETFなのですが、欧米やアジアの株価の動向にも左右されますし、為替の動向によっても左右され、更には金利でもETFの価格は変動するのです。

ETFを購入してみれば分かりますけれども、その価格がいかに激しく、時には秒単位で動いているかがお分かりになるでしょう。 ETFのリスクは、そうした、価格の動きに対応しなければならない点にもあります。

ETFの価格を決めている、さまざまな要素の先の価格を、先読みして、価格が上がった時に売るという取引の方法が、ETFで儲けを出す秘訣です。

次に、販売手数料と信託報酬ですが、オンライントレードが始まってから取引手数料は格段に安くなっています。購入金額の0.3%ほどの価格で済む証券会社もありますし、一定金額以下の場合、売買委託手数料無料というサービスを行っているところもあります。

一方、株式は売買手数料のみで購入することができますが、ETFはそうはいきません。 ETFの購入の際には、売買手数料に加えて、信託報酬というものがかかっています。

とはいえ信託報酬に関しても、一般的な投資信託に比べれば格安です。代表的なETFであるTOPIX連動型のもので年率0.3%程度です。国内株型の投資信託の場合、年利1.0~1.8%程度のものが多く見受けられます。また、信託報酬無料のものも見受けられます。

必要以上にコストに敏感になりすぎることはないと思いますが、リターンを狙うためにとるリスクと違い、コストは確実にかかってくるマイナス要因ですのでETFだけではなく、投資を行う際には手数料も一度確認することを心がけましょう。

 

ETFの税金

ETFで儲けを出したら、利益に対して何パーセントというように税金の額が定められています。税金のことを考慮しておかないと、税金の支払いが足りずに追加納税ということになる場合もあるので気をつけましょう。支払った税金でも、配当控除で取り戻せる場合がありますので、条件を確認しておきましょう。

ETFでは、申告分離課税という方式によって、年間のETFの利益を計算します。もしETFで利益がある場合は、その利益に対して、20%の金額で税金を支払います。(2013年1月1日から復興特別所得税により、20%の税率が20.315%となります。)

税金の内訳は、所得税が15%、そして住民税が5%と定められています。

申告分離課税とは
ETFを売って利益が出た場合、毎年3月に行われる確定申告で、定められた税率どおりに税金を納めます。これを、申告分離課税と言います。

またETFでは、配当金でも利益が発生します。
配当金の税金は、配当所得と呼ばれる別の方法で税金を支払います。

決算日まで、ETFを売らずに保持していると配当金がもらえます。ETFの配当は、ETFのファンドによってそれぞれ異なります。配当金の決め方は、ファンドごとに違うのでしっかりと把握しておきましょう。

このETFの配当金は、税金の取り扱いが株式と同じものとされているため、ETFと同時に株の投資もされている人ならば、株式の優遇税制、そして配当控除を受けることもできます。

つまり、ETFと株式の両方で出した利益を合わせて、税金の計算をしてもらうことが可能なのです。ETFと株式の両方を投資している人は、株式と一緒にETFの税金の計算もするようにしましょう。場合によっては、税金が安くなることもあります。

投資信託とFXの利益も、配当控除を受けることができますが、これはETFとは別物として計算することになります。また、国外ETFの配当金は、配当控除が受けられません。これは外国株式も同じで、外国株も配当控除が受けられなくなっています。

確定申告

源泉徴収選択口座であった場合は、証券会社で自動的に源泉徴収されますので、確定申告は不要になります。しかし、源泉徴収選択口座であっても、利益額によっては、確定申告をすれば、税金が戻ってくる場合もあるのです。この場合は確定申告をするべきですね。

このETFの配当控除を受けると、合計所得金額、つまり、ETFで出した儲けが38万円以下の場合、証券会社で源泉徴収されていた所得税を取り戻すことができます。また、ETFの分配金を含めた、利益が195万円以下であった場合は、税金の14%が戻ると言われています。

ETFは、その利益を確定申告することによって、より大きな利益を生み出す事もできます。いつも利益の20%が、税金として取られてしまうから、と悲観的にならずに、どんどん確定申告という行動に出るようにしましょう。

最終的にお手元に入ってくるETFの儲けや、取引のリスクを考えても、ETFは非常にメリットの多い、優秀な金融商品であると言えるのです。

海外ETF

最後に海外のETFについて少し紹介します。

日経平均株価に価格が連動するETFがあるように、海外の指標に価格が連動するETFがあります。このETFは、海外ETFと呼ばれています。海外ETFは、アメリカ、中国や韓国の株式市場で取引されていますが、日本国内からも取引を行うことができます。

海外ETFは、日本の証券会社でも取引を行うことができます。注意して欲しいのは、海外ETFというワードでは見つかりません。海外ETFは、日本の証券会社では、海外株価指数連動型上場信託投資と言われています。その名が示している通りこのETFは、海外の株価指数、中国の上海株式指数に、価格を連動させることを目的としているものです。海外ETFは、扱いは外国の株式と同じものとされており、証券会社で外国の株式を買うことができるように、日本の証券会社でも購入することができるようになっているのです。

個人投資家で海外ETFに興味を持っている人は、海外ETFで取引の幅を広げてみるのもいいでしょう。

 

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